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Aston Martin V12 Vanquish ASMフルード漏れ修理

アストンマーティン V12ヴァンキッシュ

英語で「打ち負かす」、「征服する」、「克服する」の意味を持つ「Vanquish(ヴァンキッシュ)」
アストンマーティンのフラッグシップマシンにい相応しい車名です。

イギリスはニューポートバグネル工場で、人の手で組み上げられたヴァンキッシュは大量生産された工業製品としての自動車とは一線を画す魅力がございます。

ヴァンキッシュも3代目となる現行モデルが発表されたことは記憶に新しいですが、ヴァンキッシュといえば映画「007」シリーズにも登場したこの初代モデルがお好きな方も少なくないはずです。

ボンドカーとしての側面も持つヴァンキッシュですが、生産されてから20年近くの年月が経過し、故障に伴う大掛かりなメンテナンスも珍しくなくなりました。

こちらの車両は走行不能となってしまい、レッカー入庫となりました。

V12ヴァンキッシュの変速機構はマニュアルトランスミッションがベースとなっており、車両がドライバーに代わってクラッチの断続、及び変速を行います。

クラッチの断続、変速は油圧で制御されており、フルードが漏れた場合、走行不能になってしまいます。

車両を整備エリアへ移動させ、リフトアップ。
エンジンとトランスミッションの接合部付近よりフルードの漏れが見受けられました。

漏れ箇所を特定するためにトランスミッションを車両から降ろします。

トランスミッションインプットシャフト側

写真赤丸部分、クラッチを断続するスレーブシリンダーに繋がるASMホースからフルードが漏れていたようです。
今後も安心してお乗りいただけるよう、ASMホースは全数交換させていただくこととなりました。

クラッチを断続するための部品「スレーブシリンダー」

こちらもASMフルードの油圧がかかる部品です。

部品供給の関係で今回は新品交換ではなく、現品オーバーホールで対応いたします。

スレーブシリンダーのオーバーホール完了まで時間がかかりますので、別の作業に移ります。

現在の走行距離を鑑み、併せてクラッチプレート/カバー/パイロットベアリングを交換いたします。

V12ヴァンキッシュ/V8ヴァンテージ/V12ヴァンテージS等、マニュアルトランスミッションをベースとした変速機構を採用している車両は定期的なクラッチ交換作業が必要となります。

クラッチ関連部品交換後、各部を規定トルクで締め付け実施。

当店はV12 ヴァンキッシュをはじめアストンマーティンの整備マニュアルを各種保有しておりますので、正確な情報をお調べすることが可能です。

スレーブシリンダーのオーバーホールも完了しましたので、トランスミッションまわりの整備作業に移ります。

ASMフルードが漏れて汚れたハウジングを清掃し、スレーブシリンダーを取付けます。

バルブボディに取付けられているASMホース。
経年により変色、劣化が見受けられます。

上記写真部分を含む、すべてのホース類を新品に交換。

ASMホースは経年劣化によるフルード漏れが往々にして発生してしまう部品です。
V12ヴァンキッシュのASMホースは純正新品としてホースのみの供給は無し、バルブボディAssyの構成部品にホースも付属してくるという供給設定のみとなります。

バルブボディAssy交換と比較してリーズナブルに、安心してお乗りいただけるよう、今回のように社外品のASMホースを入手し交換をする整備の方向性も有効かと考えます。

またV8ヴァンテージ/V12ヴァンテージS等に採用されておりますスポーツシフトのASMホース交換作業も承っております。

ASM関連部品の劣化が気になる、走行不能になる前に予防整備として交換を検討されているお客様はお気軽に当店へお問い合わせくださいませ。

ASMホース交換後はトランスミッションギヤセレクター部分の整備へ移ります。

走行中の変速時、シフトミスをするときがあるので改善したいとご用命いただきました。
トランスミッションギヤセレクター部分のガイドプレートに原因があると考えますので、部品を取り外し確認します。

取り外したシフトセレクターガイドプレート
油圧でギヤセレクターを動かしHパターンガイドの溝をキーがスライド、変速をします。

プレートのガイド部分にキーと強く接触、削れた跡がありました。
これが原因でスムーズに変速できず、シフトミスを誘発していたと考えられます。

キーとの接触を避けるため、プレートに加工を施します。
加工後はトランスミッションへ元通り組付け、トランスミッション搭載前に動作テストを実施し確認します。

V12ヴァンキッシュはトランスミッションを車両へ搭載してしまうと、スペースの問題で各種調整ができません。

アストンマーティン純正特殊工具を用いて、トランスミッションを搭載せずとも車両と接続している状態にします。

当然ですがこの作業もアストンマーティンから供給される整備マニュアルに記載されており、正規手順を踏んだ作業になります。

この独特な調整作業はV12ヴァンキッシュ以外には存在しないでしょう。

シフト位置を診断機で確認、ズレもなく良好です。
ガイドプレート加工後は違和感なくギヤが入るようになりました。

ギヤセレクターポジションが規定位置に収まっているか確認。

写真の緑~黄色の範囲内に黒い点が収まっていれば規定値内となります。
微調整を繰り返し、無事に中心値に納めることができました。

全ての調整作業完了後、トランスミッションを車両に搭載します。

トランスミッション搭載後はプロペラシャフト等も組み付け車両を復元。
走行、及び変速フィールが正常かチェックのために試運転を実施します。

問題なく走行ができることを確認、整備完了となりました。

アストンマーティンを代表する貴重な一台も時代の流れには逆らえず、徐々に入手不可能な部品も増えてきてしまいました。

アストンマーティンの伝統と歴史を守る意味も込めて、我々もできる限りのメンテナンスをさせていただきたいと思います。

この度は当店をご利用いただきまして、誠にありがとうございました。

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