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整備の四方山話 ~エンジンオイルについてVol.1 SAE粘度~

自動車のメンテナンスにおいて、最も身近な存在とも言えるエンジンオイル。
当然ですがエンジン内部に適切なエンジンオイルが充填されていなければ、エンジン破損等のトラブルに繋がり安全に走行することができません。

エンジンオイルには、潤滑・冷却・清浄・密封・防錆といった、エンジンオイルとして要求される基本的な性能・役割が土台として存在します。

その土台の上に、

・スポーツカーには高温、高負荷時でのエンジン保護性能が高いオイルを
・燃費性能を重視したハイブリッドカーにはエンジン稼働時のフリクションロス低減を第一に、できるだけ低粘度のオイルを
・低燃費と豊かなトルクを兼ね備えたクリーンディーゼルには、排出ガス浄化装置の保護成分を含有したオイルを

といったような、エンジンの構造や使用環境によって異なる性能がエンジンオイルに要求されます。

そのため、「高価なオイル=良いオイル」と考えるのは半分正解で半分間違いです。
大切なのは、単に高価なオイルを選ぶことではなく、そのエンジンに適したオイルを選ぶこと。

 

今回から不定期でお届けする「整備の四方山話」。

まずはエンジンオイル選びの基本となる「SAE粘度」について少し掘り下げてみたいと思います。

●SAE粘度とは?

エンジンオイルの容器に記載されている「0W-20」や「5W-30」といった数字。
これらはSAE(米国自動車技術者協会)が定める粘度分類で、オイルの温度に応じた粘度特性を表しています。

 

例えば「5W-30」の場合。

前半の「5W」は低温時の始動性やオイルの流動性に関係する区分で、WはWinter(冬)を意味します。
数字が小さいほど低温流動性に優れ、ドライスタート防止や始動性が高いオイルと判断できます。

一方、後半の「30」は高温側の粘度グレードを表しています。
こちらは主に油温100℃における動粘度と、150℃における高温高せん断粘度(HTHS粘度)によって区分されています。

「5W-30」と「10W-30」を比較した場合、「5W-30」のオイルの方が全体的に柔らかい(サラサラしている)と考えがちですが、その認識には注意が必要です。

低温流動性を示す「〇W」の部分はあくまでも低温時(クランキングやエンジン始動直後)の粘度、「30」の部分は高温時(エンジン暖機後や高負荷時)の粘度。

・「5W-30」は「5W」の低温時粘度を有し「30」の高温粘度を有するオイル
・「10W-30」は「10W」の低温時粘度を有し「30」の高温粘度を有するオイル

と考えると、例に挙げた「5W-30」のオイルの方が全体的に柔らかい訳ではないと認識いただけると思います。

では高温側の数字が大きければ大きいほど、エンジン保護性能が高いのか?
実はそう単純な話ではありません。

エンジン内部のクリアランスやオイルポンプの特性、潤滑系統の設計によって適切な粘度は異なります。

また、SAE粘度はあくまで粘度特性を示すものであり、「エンジンオイルの品質そのもの」を評価する規格ではありません。

どのメーカー、どの銘柄のエンジンオイルパッケージに必ずといっていいほど記載のあるSAE粘度ですが、その実、エンジンオイルを選ぶにあたって「数多く存在する物差しのひとつ」に過ぎないのです。

では、どのようにご自身の愛車にマッチしたエンジンオイルを選ぶべきか?
メーカー、車両、エンジンによって各々定められた「規格」をチェックするべきと考えます。

次回は「エンジンオイルの規格」について少し掘り下げてみようと思います。

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